目次
外国人雇用を検討されている企業様へ
大企業から中小企業・個人事業に至るまで、外国人雇用は当たり前のこととなっています。
その一方、外国人雇用の場面においては、不法就労リスクをはじめとした入管法違反のリスクがあります。さらに、技能実習や特定技能の外国人を雇用している場合においては、複雑かつ厳格な規制があり、思わぬことで違法が生じるリスクがあります。
入管法や技能実習法などの規制は、複雑で分かりづらい一方で外国人労働者を大切に扱い、賃金も適正に支払っているというような企業等であっても、複雑な法規制ゆえに、意図せず違法を生じさせてしまい、ペナルティを受けてしまう事例も多くあります。
そのような事態を避けてしまうために、適法性チェックが必要不可欠です。
「技人国は行政書士に任せているから大丈夫」、「技能実習は監理団体に任せているから大丈夫」と思われるかもしれませんが、そう思っている企業等の皆様には、特に以下の記事を読んでいただきたいです。
適法性チェックを怠るリスク
外国人雇用の違法リスクとして最も重大かつ注意する必要があるのは、不法就労リスクであり、これは在留資格では認められない就労をさせた場合に成立し得ます。
雇用主である企業等が不法就労をさせてしまうと、不法就労助長罪(入管法73条の2)という犯罪が成立し、担当者や責任者、事業主や法人が処罰されるというリスクがあります。刑罰に処せられなくても、技能実習や特定技能の外国人の雇用継続ができなくなり、5年間は受入れができなくなるなど、重大なペナルティが課されるリスクがあります。
技能実習や特定技能の外国人を雇用している場合は更に注意が必要です。入管法だけでなく、労働関連法や租税法などの違反により、ペナルティを課されることがあります。
例えば、技能実習において、雇用主の企業等(実習実施者)に課される最大のペナルティは、技能実習計画の認定取消しの処分です。
過去に相当数の企業等がこの処分を受けていますが、その原因として最も多いのは、技能実習生に対する虐待や賃金不払いではなく、労働関連法(特に労働安全衛生法)違反で罰金刑に処せられたということなのです。
外国人雇用の有無にかかわらず労働関連法の遵守は必要ですが、外国人を雇用する企業等においてはそれ以外と比べてより一層、遵守の必要性が高いということになるのです。
適法性チェックを行うメリット
適法性チェックを行う利点は以下のとおりです。
①問題の早期発見と適正な対処
適法性チェックの最大の利点は、問題の早期発見です。
早期発見することで、仮に問題が生じていたとしてもその影響を最小限にとどめることが可能となります。
違法があったとしてもそれが小さな段階にとどまれば、対処も容易である場合が多く、当局対応次第ではペナルティを回避できる可能性もあります。例えば、資格外活動許可を得て働く留学生を1週間に28時間を超えて就労させてしまったとしても、その超過が週数時間程度であり、対象となる留学生が1人とか2人くらいにとどまるならば、週28時間以内に抑えるように是正することはそれほど難しくないでしょう。また、不法就労助長のペナルティを受けることも回避できる余地があります。
しかし、これが100人の留学生を毎週40時間就労させることが常態化していれば、いきなり週28時間以内に抑えることは容易ではないでしょうし、不法就労助長のペナルティの回避も困難でしょう。
②不法就労や違法のリスクを認識できる
適法性チェックの2つめの利点は、どこに不法就労や違法のリスクがあるのかを認識し、回避できるという点です。
適法性チェックの結果に問題がなかったとしても、それは単なる偶然かもしれません。
「よかった」と言って何もしなければ、しばらくすると違法が生じるかもしれません。
適法性チェックは、あらゆる違法を漫然と単調にチェックするものではなく、どこにリスクがあるのかを判別して、リスクの高いポイントを重点的にチェックするものです。どこにリスクがあるのかは、企業の業務内容や、外国人従業員の配置や人員構成、外国人従業員の在留資格等により様々であり、企業ごとに異なります。
適法性チェックを実施することで、仮に違法が発見されなかったとしても、自社のどこにリスクがあるかを認識することができます。
③対策を講じて違法を未然に回避できる
②とも関連しますが、適法性チェックを実施して、自社のリスクを認識することにより、リスクに応じた適切な対策を講じることが可能となります。
資格外活動許可を得て働く留学生が多く、毎週の就労時間の調整にリスクがあるのであれば、シフトの作り方を工夫するなどの対策が取れます。
また、適法性チェックを行う過程で、否が応でも管理職を中心に、社内全体で適法性を意識させられることになります。
外国人雇用の問題においては、行政書士等の外部専門家任せにするのではなく、管理職を中心とした全従業員の意識を高めることが最も重要といえますが、適法性チェックに伴ってその意識を高めることができます。
当事務所の適法性チェック
①弁護士による、在留資格を横断した総合的な適法性チェック
当弁護士法人の適法性チェックの特長は、弁護士によりあらゆる在留資格を横断した総合的なチェックが可能となる点にあります。
外国人雇用の違法の問題においては、技人国等の就労系資格の場合と、身分系在留資格の場合、技能実習の場合、特定技能の場合、留学生等の資格外活動許可の場合で全くと言っていいほど異なります。
そのため、リスクがあるポイント、必要な対策がまったく異なります。
たとえば、技能実習においては監理団体の監査があり、監理団体がしっかりしていれば年4回の監査を通じて問題の早期発見と抑止が可能となり得ます。もっとも、監理団体がチェックするのは基本的には技能実習に限られると思われます。
これに対し、当弁護士法人の適法性チェックにおいては、あらゆる在留資格や場合によっては日本人従業員に関する問題をも横断して、企業ごとに異なるリスクを見極め、総合的なチェックが可能となります。
②社内体制の強化と違法の抑止
当弁護士法人の適法性チェックの第2の利点は、社内体制の強化を図り、違法を抑止できるという点です。
当弁護士法人の適法性チェックは、ただ単に違法か適法化を判断するだけではありません。企業の実情に応じ、どこにリスクがあるのか判定し、それにはどのような対応をすればよいのか、そのアドバイスも含みます。現在自社で行っているチェック体制、たとえば、外国人従業員の入社時のチェックに不足があれば、その改善を提案します。
社内体制を強化して、自社内部で違法を抑止することができるようになれば、弁護士による適法性チェックをする必要もなくなります。
当弁護士法人は、継続的に適法性チェックのお仕事をいただくことを目的にしておらず、、むしろ、適法性チェックが必要なくなる体制を構築することを目指します。
③違法発覚時の万全の対応
当弁護士法人の適法性チェックの第3の利点は、万が一問題が発覚した際の対応です。
不幸にして違法が発見された場合は、違法を是正する必要がありますし、場合によっては当局対応を要することがあります。
違法の是正というのも、労働関連法に照らして適正に行わなければならず、必ずしも容易ではありません。労働関連法やあらゆる法律に通じた弁護士が関与する必要性は高いです。
また、検事として長く行政に携わっていた弁護士が、当局対応をも適切に行います。
万が一、刑事事件化した際も、元検事の弁護士が最善の弁護活動を行います。